FOOT DEFORMITY
足にかかる負荷
まず、最初に、私たちの足にどれくらいの負荷が日常的にかかっているのでしょうか。ある研究によると、歩行時に体重の1.2倍の負荷がかかっているようです。さらに、走ったり、昇降運動をした時にはより多くの負荷がかかります。これほどの力がかかっているわけですから、合っていない靴や、足に負荷のかかる靴を日常的に履いていると足に変形が現れるのは容易に想像できます。
この負荷に対し、足は上手く体重を分散させる機能を持っています。有名なところでは土踏まずと呼ばれる内側縦アーチです。詳細は省きますが、このアーチが体重を足全体に分散させる役目を担っています。
痛い足のタコとウオノメ
たとえば、ヒールの高い靴では、体重のほとんどが足の半分より前方にかかってきます。その結果、足趾の骨がある直下にタコ、ウオノメが形成されやすくなってしまします。
ではヒールがない靴の方がタコ、ウオノメができにくいのかというとそうでもありません。自身の体重は足全体に分散されていきますが、半分近くは踵に集中します。ある程度しっかりしたヒールがついていないと、地面からの衝撃をダイレクトに受けてしまうため、踵周りにタコ、ウオノメが形成されます。
また、足入れがしやすいからと大きめの靴を好まれる方もいらっしゃいますが、その場合、足が靴によて固定されておらず、足趾は踏ん張ろうとして力を入れて屈曲します。そして、足趾にタコ、ウオノメが形成されるケースも多いです。
反対に小さすぎる靴を履くことで、必要以上に締め付けられ、足の肉がシワを作り、そのシワ状に形成されるケースもあります。
このように、ヒールが高すぎても、低すぎても、またサイズが大きすぎても小さすぎても足にはよくありません。フスフレーゲで除去できるといっても、普段の靴を変えない限り、延々と繰り返さなければならなくなります。
ほとんどの場合が、普段履かれている靴が合っていないことによって引き起こされますが、角質が異常に多くみられる場合、皮膚の病気の可能性もありますので皮膚科の受診をおすすめください。
外反母趾
一般的にも広く知られた変形で、外反母趾に効く靴というのも多く販売されています。しかし、外反母趾とは母趾の関節の脱臼であり、進行はすれど、靴を変えただけで治るものではありません。足の骨が外へ外へ広がっていくため、足幅が広くなり、幅広で外反母趾によいなんてうたい文句があるとつい飛びつきたくなりますが、幅が広がっていく足に対し、さらに広い靴を履いていると外反母趾はどんどん進行していく可能性があります。
一番良いのは、足のウエスト部をしっかり締めれる靴で、適切なアーチサポート(土踏まずだけでなく、横アーチサポートと呼ばれるもの)のあるインソールを入れて履くことです。また、進行予防や足趾が重なってしまっている箇所の保護のためにパッドをおすすめすることもできます。パッドに関してはポリマージェルパッドをご覧ください。
自分の足に合った靴を見つけることは、自身だけでやると思った以上に難しいものです。既成の靴はそれぞれのメーカーで標準化された木型を使って作るため、その木型が自分に合っているとは限らないのです。オーダーにしても、熟練の靴職人をして、3回は作らないとしっかりフィットしないと言われるほど、靴のフィッテングは難しいのです。女性の場合、仕事等でどうしてもヒールの高い靴を履かなければいけないというケースもあるかと思います。足に合った靴に巡り合ったけど、デザインが気に入らないなんてこともあるでしょう。足に合った靴と自分の価値観に合ったデザインの靴、それぞれを履き分けていくことが、足にも心にもよい、楽しいくらしにつながっていくことでしょう。
参考文献 「足と靴 その整形外科的処置法」